WHO神戸センターは、一連の研究ブリーフ 「継続的なケアのための資金調達:低・中所得国(LMICs)に向けた教訓」の第10弾として、継続的なケア(LTC)のインフォーマルな介護者の支援に関する研究ブリーフを作成しました。
継続的なケアと保健医療が異なる大きな特徴は、高齢者の日常生活における動作(入浴、着替え、トイレなど)を支援するために多くのインフォーマルな介護者が存在しているかどうかという点です。多くのインフォーマルな介護者とは、家族や友人です。
インフォーマルな介護者に頼ることは、公的な継続的ケアのサービスに代わる簡単で安価な方法に見えるかもしれませんが、経済にとっては非常に大きな損失です。インフォーマルな介護にかけられる時間と労力の価値は、生産年齢にあるインフォーマルな介護者が逸失する有償の労働時間と生産性を含めて、年間のGDPの0.8~4.9%と見積もられています。
インフォーマルな介護者を支援する主な方法は、継続的なケアのフォーマルな制度への投資を増やすことです。これにより、生産年齢にある成人はインフォーマルな介護と有償労働を両立させることが可能となっていました。在宅介護、デイサービス、日中や食事提供時の介助の個人的なサポートを含む継続的なケアのサービスは、インフォーマルな介護者が有償労働を続けることにつながる可能性があります。
人々がフォーマルな雇用を維持しつつインフォーマルなケアもできるように、各国は、有給休暇や無給休暇、フレックスタイム制などの労働に関する政策も実施してきました。介護者や介護利用者に対する現金の給付は、インフォーマルな介護者を補償することを目的としてはいるものの、女性に従来のインフォーマルな介護者としての役割に留まるよう圧力をかけることになるかもしれないという懸念が残ります。
介護による精神的な負担を軽減できるように、インフォーマルな介護者へのトレーニングが広く行われています。しかし、他の政策とは異なり、長時間のケア提供によるネガティブな影響をトレーニングが軽減することを示すエビデンスは弱いものでした。
一連のブリーフの執筆者でもある当センター所長のサラ・バーバー博士は、WHO内外の多くの共同研究者やパートナーからの協力に感謝しています。当センターは、高齢化社会においてカバレッジと経済的な保護の実現に向けた動きを加速するため、サービス提供モデルのイノベーションと持続可能な資金調達に関する研究を実施しています。
本研究ブリーフについては こちらを、また、継続的なケアのための資金調達に関するプロジェクトの全ての研究ブリーフ10件は こちらをご覧ください。