WHO神戸センターが主催する学生フォーラム「Health for All: Time for Action – From Youth Awareness to Hopeful Futures」が8月24日(日)に行われ、オンラインと会場を含め約180名が参加しました。医学生を中心にイノベーションに取り組むinochi WAKAZO Projectと共催で行った本フォーラムは、学生が企画から運営までを担いました。
WHO神戸センター総務課長のロイク・ギャルソンによる開会の挨拶に続き、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金CEOの國井修氏による基調講演では、世界各地での災害や人道危機における医療者としての現場経験から、政策レベルでの取り組みに至るまで、グローバルヘルスに関わる多角的な話がなされました。自ら考え発信する大切さや、希望を持ち続け、協働し、五感をフルに使って学ぶ大切さに加え、「情熱も夢も自ら育てられる」という力強いメッセージが学生に向けて伝えられました。
参加型の分科会では、気候変動、人道危機、生活習慣病(NCDs)、母子保健、人道危機、感染症、および国際協力をテーマにブレイクアウトセッションを行いました。気候変動のチームでは異常気象による災害がPTSDの発症に及ぼす影響について、人道危機のチームでは同伴者のいない難民の子供のメンタルヘルスについて議題が挙げられるなどし、WKCサマースクール参加学生による発表をもとに活発な意見交換が行われました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、WHO西太平洋地域事務局 精神保健・薬物使用ユニット調整官の堤敦朗氏、大阪大学大学院医学系研究科の白井こころ教授、およびサマースクール参加者の学生を交えたディスカッションが行われました。昨今の世界情勢や気候変動などの危機は決して明るい状況とは言えない一方、それでも課題解決に向けて希望を描き、好奇心を行動に移すことや、世界の課題を自分ごと化して情熱を掘り下げていくことの大切さなど、パネリストによる熱いメッセージが飛び交いました。またグローバルヘルスという大きな課題に立ち向かう上で仲間をつくる重要性についても言及され、本フォーラムがそうした場の一つであることも確認されました。
日本WHO協会理事長の中村安秀氏および東京大学大学院医学系研究科の橋爪教授による総括コメントの後、サマースクールの研究成果をもとに作成した提言書が主催者に手渡され、希望ある未来を実現するための学生からの提案が引き継がれました。最後に、兵庫県保健医療部長の山下輝夫氏による挨拶をもって、参加者の熱気と共にWKCフォーラムが閉会しました。