西太平洋地域における高齢者の医療・社会的ケアに関わるアンメットニーズの定量化とその政策要因の分析

実施期間

2024年10月 - 2025年12月

連携機関

代表研究機関:オーストラリア国立大学(オーストラリア)、フレッド・ホローズ財団(オーストラリア)

協働機関:WHO西太平洋地域事務局、カンボジア・ベトナムの各WHO国事務所

総予算

US$ 160 000.00

背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により、医療に関わる満たされていないニーズ(アンメットニーズ)に対する意識が高まり、2023年の世界保健総会では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進に向けた各国の進捗を評価する新たな指標として、医療のアンメットニーズを検討することが提言されました。一方、特に高齢者の自立と健康アウトカムにとって重要となる、社会的ケアに関わるアンメットニーズは、いまだ見過ごされている状況です。

WHOの西太平洋地域では、少なくとも15カ国が医療・社会的ケアのアンメットニーズに関するデータを有しており、高齢者のアンメットニーズにかかわる政策の影響を調べることが可能です。 本プロジェクトでは、カンボジア、中国、ベトナムのデータを用い、各国における政策との関連を調査します。

目標

カンボジア、中国、 ベトナムの各国における、2005年から2023年までの医療・社会的ケアに関わるアンメットニーズを推計し、それに影響を与える可能性のある2000年から2020年までに施行された関連政策を特定する。

研究手法

  • WHOおよびWHO以外の機関が実施した調査のデータを用いて、対象3カ国のアンメットニーズの水準と変化(2005年~2023年)を統計的に分析する。
  • 各国における過去10~20年の主な関連政策をはじめ、医療制度上あるいは社会経済的な変化に関するデスクレビューを行う。
  • これらの主要な政策と、医療・社会的ケアのアンメットニーズを時系列で対応させ、 ニーズに対処する手段となりうる政策を検討するとともに、アンメットニーズを増加させる可能性のある政策・プログラムも特定する。
  • 関連政策やその他の背景要因などに関する現地の知識を得るため、各国の専門家、WHO国事務所、WHO地域事務局への聞き取り調査を実施する。

期待される研究成果

  • カンボジア、中国、ベトナムの高齢者における医療・社会的ケアに関わるアンメット ニーズを推定する。
  • 各国における高齢者のアンメットニ ーズに影響を与える可能性のある医療・社会政策を特定し、今後のさらなる政策評価研究に指針を与える。
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジをモニタリングするための追加指標として、医療のアンメットニーズを用いることの重要性と実現可能性を検討することを提言した世界保健総会決議 76.4 に寄与する。
  • 西太平洋地域内外の他の国々の関連政策への示唆を得る。