WHO神戸センターと、ジュネーブのWHO保健制度資金供給・経済ユニット(HFE)、経済協力開発機構(OECD)は2024年9月10日(火)にウェビナー「人頭払い制度とパフォーマンスに基づく支払いの融合:継続的なケアの質は向上するか」を開催。各国の専門家と共に議論しました。
慢性疾患に対するケアの質と効果を改善するための購入・支払い方式に関する事例を取り上げた当センターとHFE、OECDの 研究に基づいて本ウェビナーは行われました。非感染性疾患による死者数は世界全体で毎年約4100万人にのぼり、低・中所得国では、その数が増え、約6割の人は質の低いケアが原因で亡くなっています。これは、ケアにアクセスできないことが原因で亡くなる人を上回っています。購入に関する取り決めとサービス提供者への支払いの方法は、質の向上を目的の中心に据えています。
170名近くが参加したセッションはHFEシニア・ヘルス・ファイナンス・スペシャリストのインケ・マタウアー博士により進められました。HFEユニット・ディレクターのカリプソ・カルキドウ博士と当センター所長サラ・バーバー博士は本研究プロジェクトの説明を、中国の崑山杜克大学グローバル・ヘルスのチェン・ロン准教授とインドネシアのガジャ・マダ大学保健医療政策・管理センターのスティーヴィー・アルディアント・ナッポーリサーチフェローはそれぞれの国の経験を話しました。インドネシア保健省大臣付公衆衛生サービス専門職プラストゥティ・ソウォンド博士、OECDヘルスエコノミスト・政策アナリストのルカ・ロレンツォーニ氏からも専門的なご意見を頂きました。
人頭払い1とパフォーマンスに基づく支払いの両方式によりヘルスケア提供者への支払いが行われている中国とインドネシアの例が事例研究として選ばれました。人頭払いは、患者への過剰なサービスの提供を抑制する一方で、サービス提供者がその提供を怠ったり、質に関わる支出を控えたり、より重症な患者を他施設に必要以上に紹介するなどの事態を招く場合もあります。中国では、提供者への支払い総額に占めるパフォーマンスに基づく支払いの割合は小さく、農村や遠隔地でパフォーマンスが低くなっているという点で逆進的でした。インドネシアでは、段階的ではなく絶対的な目標が設定されていたため、質に関わるリソースが少ない地域では特にケア提供者が目標を達成できないと感じていました。
本ウェビナーでは、継続的なケアの質を向上させるために、両者を融合させた支払い方式を用いることの複雑性がクローズアップされ、参加者からは非常に好意的な反応が得られました。ディスカッションでは、設計と実施の各過程の重要性や、支払い方式の設計にモニタリングと評価を組み込むことの重要性が強調されました。リーダーシップを発揮し、段階を追って実施することは、障壁の特定や、医療従事者や患者会との協力、支払いや提供の新たな制度を導入する際に必要なインフラの計画に役立ちます。
1人頭払いとは、実際に提供されたサービスにかかわらず、患者1人あたりに定められた一定期間(通常1年)の金額を前払いで、ヘルスケアの提供者や提供組織に支払う方法です。当センターは、高齢化社会におけるアクセスと質を改善する歩みを加速するため、サービス提供モデルと持続可能な資金調達のイノベーションに関する研究を実施しています。