ケーススタディ
既存の人材開発への取り組みから学ぶ
ケーススタディ
既存の人材開発への取り組みから学ぶ
WHO神戸センターは、効果的な災害危機管理の強化に向けた従事者の能力開発に関するエビデンスを得るための研究プロジェクトを支援しています。2019年から2021年にかけて行われたあるプロジェクトでは、人材に関する取り組みについてのケーススタディが実施され、結果が公表されています。これらのケーススタディは、実際の経験に基づく、災害・健康危機管理従事者の人材開発強化に向けた貴重な洞察と提言となっています。
この研究がテーマとしたのはサハラ以南のアフリカの紛争後の地域における薬局で働く医療従事者育成の課題と障壁でした。その研究結果として、紛争特有の課題が浮かび上がりました。予測不能な医療ニーズ、交通障害、そして頭脳流出や学業の中断による薬剤師不足などが、その例です。医療従事者の確保と育成の障害となっていたのは、頭脳流出、職場環境が危険だという認識、そして、海外移住者や外国人スタッフには適さないキャリアパスや契約期間だったこともわかりました。長期的な改善につながる政策的解決やそのための努力がなければ、紛争を経験した地域でユニバーサル・ヘルス・カバレッジや持続可能な開発目標を達成することはできないのです。
詳しくはこちら世界保健機関緊急医療チーム(WHO-EMTs)は、高度の技能を有する医療専門家やボランティアからなる重要な国際ネットワークを提供しています。これらのチームは、必要な医療用品や設備を備え、大規模な公衆衛生上の危機や人道上の非常事態に応じて直ちに現地に向かい、緊急の医療サービスを提供できます。WHO-EMTsの派遣によって医療へのアクセスを強化し、健康格差を小さくし、災害や疫病が脆弱な住民に与える影響を最小化できることが示されています。
詳しくはこちらチリは、地震の影響を軽減するための戦略に多額の投資をしています。この結果、チリでは地震が起こっても、死者が少ないのです。しかし、まだ改善の余地は残っています。例えば、どこでも使えるように標準化された災害対応トレーニングの提供や、救助隊員のトレーニングの連携ができるはずです。災害の被害を小さくしたり、防止したりすることには優先的に取り組む必要があります。地震のような突発的な災害については、特にそれが強く求められます。
詳しくはこちらレバノンの保健医療制度は、経済の減速、国民の不信感、難民危機、そして医療従事者の減少などの理由から崩壊寸前にあります。ベイルート・アメリカン大学は、医療サービスの完全な停止を防ごうと国際社会に対して支援を呼び掛けています。
詳しくはこちらインドの保健医療制度は、自然災害や人為的な事故から生じる多くの課題を抱えています。このため、災害へのしっかりとした備えや対応の仕組みが必要です。エルフィンストーン・ロードでの将棋倒し事故やグジャラート地震によるブジ市民病院の倒壊などの事故では、多くの死傷者が出たときにシステムが十分機能しないことが明らかになりました。チェンナイでの洪水やSUM病院、ムルシダバード病院での火災は、病院の施設の弱点を露呈し、非常用電源や防火対策の重要性を浮き彫りにしています。トゥグラカバードの化学物質漏れ事故は、化学物質に対する安全確保と緊急時の備えの必要性を示しています。これらのできごとから見えてくるのは、災害時に病院の安全を確保するためには、総合的な災害管理計画、医療専門家育成に向けた有効な訓練、そしてレジリエントな医療施設が必要であるということです。
詳しくはこちらこの研究のテーマは、ネパールの医療危機の際、女性の地域保健ボランティア(コミュニティ・ヘルス・ボランティア:FCHVs)にとって、後押しとなった要因と障害です。FCHVsは、地震の後、真っ先に行動を起こし、支援を提供しました。彼女たちは地域社会にも歓迎されていたのです。2015年の地震の際、FCHVsにとって大きな障害となったのは、事前に十分な訓練を受けていなかったことと十分な医療用品を手に入れられなかったことでした。定期的な災害対応訓練の実施と持続的な投資を伴う公的部門からの強力なリーダーシップとがなければ、コミュニティの医療従事者の能力を高め、これによって、資源の乏しい環境で将来起きる医療的な非常事態に備え、その影響を軽減することはできません。
詳しくはこちら少数民族保健プロジェクト(EHMP)は、2009年から、中国の遠隔地にある少数民族を中心とする16の村において、コミュニティに根差した災害・健康危機管理に関する教育介入を続けてきました。このケーススタディでは、中国四川省馬鞍橋村での最初のEHMPプロジェクトを概観し、この種のプロジェクトの計画と管理に関する主要な要素に光を当てています。この研究は、地方のコミュニティにおいて、災害・健康危機管理の人材育成プロジェクトが効果的に実践されている様子をよく示しており、同様の状況下で持続可能で効果的な災害・健康危機管理教育介入を実施するための5つの提言で締めくくられています。
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