WHO神戸センターの茅野龍馬医官は12月2日、広島大学において「Global health threats and risk management」をテーマに講演を行いました。茅野医官は、抗菌薬耐性(AMR)、高齢化、メンタルヘルス、気候変動に伴う健康影響など、複合化する現代の健康課題を紹介し、WHOが担う研究、規範設定、各国支援の役割を説明しました。また、災害時の健康被害を最小限に抑えるための国際的なリスク概念(ハザード・曝露・脆弱性・能力の相互作用)について解説し、予防と備えを重視したアプローチへの転換が進んでいることを強調しました。
講演ではさらに、当センターが推進する災害・健康危機管理の取り組みとして、国際研究ネットワークや研究手法ガイダンス、各国の能力評価支援などが紹介されました。茅野医官は、複雑化する災害と健康課題に対応するには、科学的エビデンスに基づく政策形成と地域の文脈を踏まえた実践を両立させることが重要であると述べました。
今回の講演は、広島大学とザンビア大学が進める国際研究交流の一環として企画されたもので、JSTさくらサイエンスプログラムを通じて、災害・健康分野における人材育成と連携強化が期待されています。参加者からは多くの質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。