継続的ケアの労働力を確保する戦略に関する論文を発表

2025年11月25日
ニュースリリース

人口高齢化が進むなか、高齢者の機能的能力を維持するための介護を含む継続的ケアの需要が高まっています。フォーマルな継続的ケアの制度は多くの人手を要し、継続的ケアの労働者の採用と定着を強化するための戦略が急務となっています。

この問題に取り組むため、WHO神戸センターによる助成で「既存エビデンスのアンブレラレビューにもとづく、継続的ケアの労働者の採用、定着、労働条件、スキル等を改善する戦略」に関する研究が行われました。研究の一環で、アンドレア・バダチェ氏、マヤ・ドブロサヴリェヴィッチ氏、および当センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長が執筆した論文が学術誌「Health Policy」に掲載されました。

本研究では、継続的ケアの労働力を強化するための、エビデンスに基づく戦略が著しく不足していることが明らかになりました。文献検索により抽出された1万475件の関連論文のうち、本研究の対象となる基準を満たしていたのは19件にとどまり、大半がエビデンスレベルの低い論文でした。肯定的な研究結果としては、専門的な能力向上のための教育とピア・ラーニング型の研修を継続することで、労働者のスキルや満足度、ケアの質が一貫して向上することが明らかになりました。また、組織レベルでの取り組みと個人のウェルビーイングへの働きかけにより、ストレスと離職率が改善するという結果も明らかになりました。

この論文からは、継続的ケアの労働力を強化するための戦略に役立つエビデンスが早急に求められていることに加え、組織的な改善の評価を的確に行い、より広い状況での政策立案に役立てる必要性も明らかになりました。

継続的ケアのフォーマルな労働力について詳しくは、一連の関連研究「継続的なケアのための資金調達:低・中所得国に向けた教訓」のうち、継続的ケアのフォーマルな制度における労働者の支援に関する研究ブリーフ(英語)をご覧ください。