セクション1:序論

1.3章 災害・健康危機管理の政策と研究の歴 史的発展:日本の事例に学ぶ

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著者:江川新一、佐々木宏之、Anawat Suppasri、富田博秋、今村文彦、長神風二、金谷泰宏、江藤曉子、小井土雄一、久保達彦、加藤寛、金吉晴、増野園惠、茅野龍馬


本章では以下の項目について解説することを目的としています。

  1. 健康に関連する災害の影響と対応の過去の事例を確認する 
  2. 健康リスクとレジリエンス(強靭性)の変化が災害のインパクトにどのように影響するか、および災害が健康リスクにどのように影響するかについて議論する 
  3. 災害の健康への影響を評価し、最小限に抑えるための方法の改善について示す 

本章について

災害リスクの測定は複雑で、さらに、このようなリスクに対して適切な政策を策定することは困難を極めます。ケーススタディを通して、研究者や意思決定者が大規模災害における政策策定の重要性をよりよく理解することができます。過去の事例から学ぶことで、将来の災害・健康危機管理の改善につなげることが可能になります。 

本章では、日本をケーススタディとし、歴史的な出来事や、法制化による災害医療システムの変容と拡大の結果、Health EDRM研究の環境がどのように改善されたかを紹介します。このような経験は、他国の政策やプログラム開発にも関連します。この章では、過去に起きた災害により、日本における災害対応のインフラ再整備につながったことを示します。また、日本の研究者が過去の災害のデータを用いて、被災した地域社会におけるリスクや健康への影響を調査している様子も紹介されています。 

本章に記載されているケーススタディ:

  1. 日本の地震・津波の歴史を活かした、21世紀の隠れた災害リスクの理解と予測 
  2. 1995年阪神・淡路大震災後の日本看護協会による災害看護支援システムと教育メカニズムの開発 
  3. 災害後のメンタルヘルス支援体制とメンタルヘルス専門チームの開発 
  4. 被災地におけるメンタルヘルスセンターの設置による長期的なメンタルヘルス支援体制の整備 
  5. 緊急医療チームEMTの協力によるエビデンスに基づくリアルタイム意思決定のための災害診療記録システムJ-SPEEDの開発 
  6. 2011年東日本大震災の被災地における縦断的影響を評価するためのコホート研究 
  7. 2011年東日本大震災後の登録システムとバイオロジカルデータの長期フォローアップのための東北メディカル・メガバンク計画 
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