医療費の自己負担がもたらす経済的困難
日本家計パネル調査データを用いた探索的研究

実施期間
2024年9月
- 2025年3月
連携機関
主導研究者:上村一樹(甲南大学)
総予算
US$
20 000.00
背景
日本における高齢化が進む中、医療費の自己負担が世帯の経済的困難を引き起こす、あるいは必要な医療の受診放棄につながる可能性が高まっています。本研究では、SDG指標3.8.2 [1] のモニタリングにも使われる、医療における経済的保護指標を日本のデータを使って分析し、高齢化社会における医療費負担の現状をより正確に把握する手法を検討するとともに、その実態を分析し、さらに政策による影響も分析することを目的としています。
[1] SDGsの指標3.8.2は、家計の支出に対する健康関連支出の割合が(1)10%超、及び(2)25%超の人口の割合と定義されている。
目標
- 医療費の自己負担が引き起こす経済的困難の現状と変遷を、日本の家計パネルデータを用いて明らかにする。
- 世帯の年齢構成による影響を分析し、異なる指標で結果を比較する。
- 2018年の財政的な保護政策(高額療養費制度)の変更による影響を検証する。
研究手法
データ:日本家計パネル調査(JHPS)2004年~2022年(19波)を使用。
分析手法:
- WHOと世界銀行が用いる現行のSDG 指標3.8.2とその関連指標をもとに、医療費の自己負担による「経済的困難」の発生率を算出。
- 世帯の年齢構成の分類ごとに経済的困難の発生率を算出することで年齢による影響を評価。
- 時間軸に沿った経済的困難の持続性を分析(遷移確率、平均値、発生頻度)。
- 2018年の高額療養費制度の改定の前後における自己負担医療費による経済的困難の発生率の変化を世帯の年齢構成や収入別に比較。
学会発表
Kamimura K, Rosenberg M. “Persistent financial hardship among households with older persons in Japan”, International Health Economics Association 2025 Congress, Bali, Indonesia, 19 July 2025.
出版物
準備中