慢性疾患に対する質の高い保健医療サービスを強化するための購入手段

実施期間

2021年11月 - 2023年12月

連携機関

協働機関:WHO神戸センター、WHO本部保健財政・経済部門、経済協力開発機構(OECD);ジョージ・グローバルヘルス研究所(オーストラリア);アントワープ熱帯医学研究所(ベルギー);Mesylab SRL(ベルギー);デューク昆山大学、グローバルヘルス研究センター(中国);ガジャマダ大学、医療政策・管理センター(インドネシア)

協力機関:WHO地域事務局;シドニー工科大学(オーストラリア);医療政策研究所(オーストラリア);シドニー大学(オーストラリア);トロント大学、医療政策・管理・評価研究所(カナダ);バルパライソ大学、医療経済学部(チリ);アラゴン保健科学研究所、保健サービスと政策研究のためのデータサイエンス部門(スペイン)

研究対象地域

グローバル

 

総予算

US$ 400 000.00

背景

非感染性疾患による若年死が世界的に大きな負担となっていることから、慢性疾患を持つ人々のケアの質を向上させることは、ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)を推進する上で非常に重要です。

目標

慢性疾患を抱える患者に対するケアの質を向上させ、より良い健康効果をもたらすために、どのような慢性期のヘルスケアの購入の取り決めと支払い方式が使用されているか解説することを目的としました。

研究手法

  • 慢性期医療に対する支払い方式によるケアプロセスの質と健康効果への影響を特定するために、文献のスコーピングレビューを実施するとともに、既存のシステマティックレビュー論文を調査しました
  • また、慢性期医療の質や成果に連動した支払い方式の実装に関する、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、ドイツ、インドネシア、南アフリカ、スペインの各国における、合計8つの事例調査を行いました

主な結果

  • 共通して見られた課題は、混合支払方式、つまり 2 つ以上の支払方式の組み合わせにおける、金銭的なインセンティブのバランスを保つことでした。
  • 医療ケアチーム間およびチーム内での成果報酬の配分決定に関する情報がほとんど公開されていないため、医療ケア提供者の間に報酬支払の不確実性が生じている可能性があります。
  • すべての研究において、ケアプロセスの質とアウトカム(成果)の両方の指標が用いられ、その評価には既存の管理システムによって収集されたデータが多く使用されていました。
  • 事例研究の対象となった8つの支払い方式のうち、第三者評価の結果が査読付き論文として公表されていたものは 2 つだけであり、これらの評価においてさえも、選択バイアスなどの重要な研究手法上の問題が見受けられました。 
  • 慢性期ケアの質の向上を目指す支払い方式の主な促進要因と阻害要因には、ガバナンス、サービス提供、ケアの質の基準、医療情報インフラストラクチャ、財政および法的規制などの要因が含まれます。

世界的な示唆

慢性期ケアの支払い方式の設計と効果評価について過去の経験から学び、得られた教訓を他の様々な国の状況に体系的に適応させるかを検討する必要があります。特に多国間で、異なるステークホルダーも交えた場合、そのような 積極的な学習をするには時間と労力がかかりますが、設計上の間違いや実装の失敗を繰り返さないようにするためには、経験を共有することが不可欠です。

地元関西にとっての意義

ヘルスケア分野における成果連動型支払い方式の導入など、関西地域の関連する事業から得られた知見も、本調査結果に貴重な情報を与える可能性があると考えられます。

出版物

サマリーレポート

Purchasing for quality chronic care: summary report. Geneva: World Health Organization, Organisation for Economic Co-operation and Development; 2023.  https://iris.who.int/handle/10665/373217. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.

ポリシーブリーフ・シリーズ(個々のポリシーブリーフのPDFは、下記にある国別の事例研究の欄に掲載)

Purchasing for quality chronic care: policy brief series. Geneva: World Health Organization, Organisation for Economic Co-operation and Development; 2023.  https://iris.who.int/handle/10665/373273. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO.

 

事例研究

オーストラリア

カナダ

チリ

中国

ドイツ

インドネシア

南アフリカ

スペイン

 

バックグラウンドペーパー

 

査読付き論文

  • Barber, S.L., Mathauer, I., Rosenberg, M., Larrain, N., Liu, Y., Long, Q., Smith, A., Nappoe, S.A. and Lorenzoni, L. (2025), Purchasing Primary Care Services for Quality Chronic Care: Capitation With Performance Payments in Four Countries. Int J Health Plann Mgmt. https://doi.org/10.1002/hpm.3929
  • Simmons C, Pot M, Lorenz-Dant K, Leichsenring K. Disentangling the impact of alternative payment models and associated service delivery models on quality of chronic care: a scoping review. Health Policy. 2024;143:105034. https://doi.org/10.1016/j.healthpol.2024.105034
  • Ku GMV, Van De Put W, Katsuva D, Ahmed MA, Rosenberg M, Meessen B. A framework for chronic care quality: results of a scoping review and Delphi survey. Global Health Action. 2024; 17(1). https://doi.org/10.1080/16549716.2024.2422170
  • Ku GMV, van de Put W, Katsuva D, Ahmed MAA, Rosenberg M, Meessen B. Quality of care for chronic conditions: identifying specificities of quality aims based on scoping review and Delphi survey. Global Health Action. 2024; 17(1). https://doi.org/10.1080/16549716.2024.2381878
  • Meessen B, Rosenberg M, Ku GMV. Improving the quality of chronic care through purchasing arrangements in resource-constrained settings: insights from an international Delphi survey. Global Health Action. 2025;18(1). https://doi.org/10.1080/16549716.2025.2518667