WHO神戸センターは、高齢者が経済的困難に陥ることなく必要とするケアを受けられるようにするため、継続的なケアの資金調達に関する研究を支援しています。
リスボン経済経営大学院のリカルド・ホルヘ・アルコビア・グランハ・ロドリゲス氏が「欧州健康高齢化引退調査(SHARE)」のデータを用いて、2013年~2015年にヨーロッパ14か国の60歳以上の高齢者において、在宅での継続的ケアサービスの自己負担が貧困に与えた影響を調査し、当センターが発行してきた一連のバックグラウンドサマリーの最後となる論文「欧州における在宅継続的ケアサービスの自己負担に結びつく破滅的支出と貧困」で報告しました。
主な調査結果
- ヨーロッパでは、在宅での継続的ケアに自己負担を必要としないデンマークとアイルランドを除く多くの国で、在宅で公的な継続的ケアサービスを受けるのに自己負担が必要です。
- デンマーク、ドイツ、ルクセンブルク、スウェーデン、スイスでは、このようなサービスを利用する60歳以上の高齢者の25%~30%が、自己負担による支払いがなくても困窮していることから、このようなサービスを利用する高齢者はわずかな額でさえも自己負担が難しいことが示唆されます。
- 在宅での継続的ケアの利用者は、自己負担により貧困や破滅的支出に陥る可能性があります。ギリシャ、イタリア、スペインでは、サービスの利用者の20%以上が、在宅での継続的ケアのサービスを自己負担した後、破滅的支出に陥っていました。
- オランダとスペインを除くすべての国で、破滅的支出は貧困世帯に集中しています。
本活動について、詳しくはこちらをご覧ください:https://wkc.who.int/our-work/uhc-research/sustainable-financing
*オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス
出版物とプロジェクトのページに用いる表現:バックグラウンドリサーチ ブリーフ6「欧州における在宅継続的ケアサービスの自己負担に結びつく破滅的支出と貧困」