WKCフォーラムをきっかけに新たな共同研究の可能性 ―広島大学 久保達彦教授にインタビュー

2024年4月15日
ニュースリリース

WHO神戸センターは、拠点を置く関西地域と積極的に関わりを深め、研究内容の紹介や共同研究の促進を行うとともに、国内での活動をより知ってもらうよう取り組んでいます。

2024年2月、世界、地域、地元関西を含めたさまざまな共同研究を促すため、日本災害医学会と共同で災害・健康危機管理に関するフォーラムを主催しました。本フォーラムは京都で開催された第29回日本災害医学会総会・学術集会の一環として開かれ、約130名が参加しました。

当センターは、より多くの人が災害・健康危機による健康への影響から守られるための研究の実施と普及に取り組んでいます。このフォーラムでは、WHO、ASEAN諸国、および日本で進められている研究推進の構想が取り上げられ、2025年に東京で開催予定の世界災害救急医学会(WADEM)を前に、国内外での共同研究を促す方法を探るパネルディスカッションが行われました。

当センターの長年の共同研究者である広島大学の久保達彦教授に、国内外での共同研究を促す上でWKCフォーラムが果たす役割について話を伺いました。

 

WKCフォーラムについてどのようにお考えですか。

「今年京都で開催された日本災害医学会の年次総会では、国内で能登半島沖地震への対応が行われている中でも学術的な探究を決して止めないという日本の専門家たちの強い意思が示されました」

「特にWKCフォーラムは、学術的な探究のための普遍的なアプローチについて、国内だけでなく、地域や世界規模で議論する重要な機会となりました」

WKCフォーラムは、今後の共同研究にどのように役立つでしょうか。

「WHOは、災害・健康危機管理の研究手法に関するガイダンスを提供しています。学術研究で最も重要な要素は結果よりむしろ方法であるため、こうしたガイダンスは非常に革新的で重要です」

「WHO加盟国それぞれで起こる災害や健康危機の数は限られているので、国境を越えて症例を減らす仕組みがあることも重要です。WKCフォーラムでのディスカッションでは、そのような戦略の価値や必要性が証明されました」

この会議を受けて、新たな研究プロジェクトや共同研究を始める予定はありますか。

「WKCフォーラムを踏まえて、日本災害医学会はASEAN災害保健医療管理研究所の研究者たちとの学術的連携を加速することを決めました。私自身も、災害・健康危機発生時の保健医療データ収集に関する国際的な共同研究プロジェクトを立ち上げることにしました。このフォーラムは、こうした新たな研究活動の出発点として記憶されるでしょう」