災害リスクリテラシー
下位集団のニーズへの対応
本書は、高齢化社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジのモニタリングをテーマとした一連の出版物の一つです。WHO 健康開発総合研究センター(WHO 神戸センター)の委託を受け、特定のWHO地域に焦点を当て、高齢人口の満たされていない医療・社会的ケアのニーズに関して、文献をレビューし、関連する質問項目を含む既存の調査データを特定し、利用可能な調査データの探索的分析を行うことを目的とした調査研究に基づいています。本文書は、WHO西太平洋地域に関する調査レポートのエグゼクティブサマリーです。
災害リスクリテラシー
下位集団のニーズへの対応
災害危機管理には、脆弱性を減らし、レジリエンスと能力を高めるための様々な方針、介入そして活動が必要です。
健康危機が公衆衛生に及ぼす影響を和らげる方策として、災害危機管理における健康増進と健康教育があります。健康教育は、広く使われているリスクコミュニケーション手法であって、災害リスクの知識と理解を増進するために役立ちます。これは、リスクに曝されている人びとが、例えば洪水のような危険事象の影響を小さくする方法について詳しい情報を得たうえで決断(インフォームド・デシジョン)を下し、また、独力で保護や予防措置を講じるのに有用です。
2018年に開かれた災害・健康危機管理に関する専門家会議で強調されたのは、災害リスクリテラシーの重要性でした。災害リスクリテラシーは、健康リスクに対する一般の人びとの認識を高め、コミュニティの災害危機管理を強化します。災害リスクリテラシーとは、次のように定義されています。
「災害時の減災、準備、対応そして復興の状況下、ある個人がインフォームド・デシジョンを下したり、指示に従ったりするために必要な情報にアクセスし、これを読み、理解し、そして利用する能力」
例えば:
災害リスクを減殺する健康教育に必要となる活動等は次のとおりです。
危険事象のリスクをよく知り、理解しておけば、個人、組織、そしてコミュニティは、より良く災害に備え、リスクを小さくする行動をとることができますし、レジリエンスを育み、災害の影響を小さくすることもできるようになります。