災害リスクリテラシー

災害リスクリテラシー

下位集団のニーズへの対応

災害危機管理には、脆弱性を減らし、レジリエンスと能力を高めるための様々な方針、介入そして活動が必要です。

健康危機が公衆衛生に及ぼす影響を和らげる方策として、災害危機管理における健康増進と健康教育があります。健康教育は、広く使われているリスクコミュニケーション手法であって、災害リスクの知識と理解を増進するために役立ちます。これは、リスクに曝されている人びとが、例えば洪水のような危険事象の影響を小さくする方法について詳しい情報を得たうえで決断(インフォームド・デシジョン)を下し、また、独力で保護や予防措置を講じるのに有用です。

2018年に開かれた災害・健康危機管理に関する専門家会議で強調されたのは、災害リスクリテラシーの重要性でした。災害リスクリテラシーは、健康リスクに対する一般の人びとの認識を高め、コミュニティの災害危機管理を強化します。災害リスクリテラシーとは、次のように定義されています。

「災害時の減災、準備、対応そして復興の状況下、ある個人がインフォームド・デシジョンを下したり、指示に従ったりするために必要な情報にアクセスし、これを読み、理解し、そして利用する能力」

例えば:

  • 個人のレベル:災害リスクリテラシーがあれば、ある特定の災害に伴うリスクを意識することができ、その影響を小さくするための行動に向け備えることができます。災害リスクリテラシーは、また、災害に備え、対応するために必要なスキル、知識およびリソースを通じて個人のレジリエンスを育むことにも役立ちます。
  • コミュニティまたは組織のレベル:災害リスクリテラシーは、安全とレジリエンスの文化創造の助けともなります。災害リスクリテラシーがあれば、組織は、災害のリスクを特定し、評価し、その災害に備え、対応するための計画と戦略を作成することができ、さらに、レジリエントなコミュニティを作り上げることもできるのです。

災害リスクを減殺する健康教育に必要となる活動等は次のとおりです。

  • 災害リスクを助長する要素を理解すること。
  • 個人およびコミュニティに対して災害が及ぼし得る影響を知ること。
  • 地方が、リスクを小さくするために適切な行動をとることができる能力。政府や市民社会といった、コミュニティの中の利害関係者を認識しておくことも大切です。

危険事象のリスクをよく知り、理解しておけば、個人、組織、そしてコミュニティは、より良く災害に備え、リスクを小さくする行動をとることができますし、レジリエンスを育み、災害の影響を小さくすることもできるようになります。