データの倫理

データの倫理

WHO Health EDRMナレッジハブ

リアルタイムの医療データは、緊急事態の発生時や発生後に時宜を得た適切な介入を計画・実行するのに役立ちます。ただし、災害・健康危機管理の過程では倫理的な課題が生じます。公衆衛生の介入と研究の両者に関する意思決定と優先順位には、特に保健医療データを取り扱う際に、プライバシー、完全性、利用の適切性、データの所有権などの倫理的課題が関与します。

緊急事態は、ロジスティクス、セキュリティ、資源、時間管理において特有の課題を生み出します。非緊急事態時での運用を想定した標準的なプロセスや手続きは、災害特有の不確実性に適応できない場合があります。したがって、個人情報を保護する権利など、個人の基本的な人権と自由を確実に保護するために、WHO Health EDRMナレッジハブではデータ管理に関して、人々の保健医療データを収集・利用・共有する際に配慮すべきデータ管理と研究に関する倫理に関する利用可能な政策と原則を紹介しています。

 

WHOの原則、ポリシー、教材

WHOのデータに関する原則

WHOのデータに関する原則では、WHOが入手し、内部で取扱い、発信する情報をどのように収集・処理・共有・使用するかを定義する、データガバナンスに関する5つの原則を提供しています。

WHO加盟国による、WHO収集データの公衆衛生上の緊急事態以外での使用と共有に関するWHOのポリシー

データは健全なあらゆる公衆衛生活動の基本であり、データを共有することで得られる科学や公衆衛生面などでの利益は広く知られています。WHOは可能な限り、保健医療データの共有を促したいと考えており、これにはサーベイランスや疫学的データなどが含まれますが、これに限定されるものではありません。本ポリシーの目的は、WHOにより加盟国で収集されたデータの使用と共有に関する現在のポリシーと原則を明確にすることにあります。このページでは、本ポリシーの原則と要件についてまとめています。

疫学、緊急事態、災害における倫理:研究、サーベイランス、患者のケア(2015)

このトレーニングマニュアルは、緊急事態における研究やサーベイランス、患者のケアに関する倫理的課題、および、緊急事態や災害の発生前・発生時・発生後のリスクを低減させるための関連項目に関する資料です。パート1は、公益と個人の自主性との間に生じる軋轢、倫理面の監視、出版倫理など、研究とサーベイランスにおける倫理的課題に関する内容です。パート2はトリアージ、ケアの標準、緊急事態における医療従事者の職業上の義務など、患者のケアに関する内容です。

詳しい情報

保健医療データの収集・管理に関する詳しい情報は、「災害・健康危機管理の研究手法に関するWHOガイダンス(2022年改訂版)」のガイダンス3.4章「研究倫理」に記載されています。