人材に関するガイドラインと戦略
災害・健康危機管理のための人材開発
慢性疾患の急増による若年層の罹患や早世は、低・中所得国(LMICs)の保健医療システムにとって大きな課題となっています。慢性疾患を抱える人々の健康と福祉にとって、質の高い保健医療サービスを提供することは極めて重要です。本稿では、医療提供者への診療報酬の支払い方式を含む、保健医療サービスの購入にかかわる取り決めが、質の高いサービス提供に及ぼし得る影響について考察します。このバックグラウンドペーパーは、主に慢性疾患の本質、医療の質管理における重要要素、LMICsにおける優先課題、そして保健医療サービスの購入手段がもたらしうる効果について理解を深めることを目的としています。
人材に関するガイドラインと戦略
災害・健康危機管理のための人材開発
WHOは、提供可能なリソースの増強、医療従事者の能力向上、そして医療サービスの質の向上を通じて、医療へのアクセス改善を目指しています。WHOの「健康のための人的資源に関する世界戦略」では、医療システムの直面する課題の解決を図り、誰もが質の高い医療サービスに確実にアクセスできることを目指しています。
この戦略では、5つの主要分野に焦点を合わせています。すなわち、保健医療へのアクセスの改善、医療従事者の増強、医療従事者計画の強化、医療従事者のパフォーマンス改善、そして医療従事者の公平の促進です。この戦略は、さらに、医療分野で働く人びとの質量の向上、医療従事者に関する計画の改善、医療従事者のパフォーマンス強化、そして医療従事者の公平の促進にも焦点をあてています。
2022年5月、WHOとそのパートナーは、『アクションプラン:非常事態への備えと対応に焦点を合わせた基本的公衆衛生機能を実現するための国家レベル人材能力(2022~2024年)(仮訳)』を公表しました。このロードマップでは、WHOとそのパートナーの貢献を整理し、基本的な公衆衛生機能(緊急事態への備えと対応とを含みます)を担う学際的な人材の能力をWHOのすべての加盟国が強化するための5年間のビジョンを示しています。
このアクションプランは、ロードマップの最初の2年間(2022年7月から2024年6月まで)に期待される直近の活動と成果とに焦点を合わせ、次の目標を達成することを目指しています。
図1は、どんな災害に直面したとしても、効果的な看護の実践を可能にする8つの領域を示しています。これら8領域には、臨床的な能力と功利主義原則の適用が必要です。新たなレベルⅢの能力は、WHOの非常事態対応医療チームのための分類と最低基準(WHO、2021年)と整合性がとれており、また、これに基づいて設定されています。