WHO神戸センターは、高齢者が質の高い保健医療をいつでも受けられ、経済的に保護され、保健医療の効果を得られるようにするため、介護を含む継続的なケアのための持続可能な資金調達に関する研究を実施しています。
継続的なケアのアクセスを拡大し、サービスの質を向上させることは、経済的・社会的利益をもたらす健全な公的投資と考えられる一方、継続的なケアへの資金調達は決して容易ではありません。当センターは、低・中所得国における継続的なケアに関する政策と資金投入の指針となるよう、これまでのエビデンスを要約する一連の研究ブリーフを作成しました。
ブリーフ3では、各国がどのように継続的なケアの資金を調達しているかに焦点をあて、特に低・中所得国の状況に役立つ具体的な教訓を提示しています。継続的なケアのフォーマルな制度がない低・中所得国では、個人や家族、コミュニティー、保健医療セクターがケアを負担しており、これにより、必要なサービスへの公平なアクセスと経済成長が妨げられています。高所得国では、継続的なケアへの支出は国内総生産の1.7%(2019年)から2040年には2.3%にまで上昇すると予想されています。
継続的ケアの財源には、税金、社会保険、患者の自己負担、民間の保険などがあります。例えば税金を財源とする場合、その財源の大きさと柔軟性により、継続的ケアのサービス給付をまかなうことができ、さらに非正規雇用者もカバーすることができます。
また、労働者の大半が正規雇用されている高所得国では、事業者や従業員に加入が義務付けられる社会保険が継続的なケアの安定した財源となります。一方で、大半が非正規雇用されている国では、これは実現性や公平性に欠ける方法となります。
継続的ケアの財源を調達する際、各国はそれを国レベルで行うか、地方自治体レベルで行うかを選択できます。ただし、自治体レベルで資金調達や管理を行う場合、中央政府による指針や支援が十分でないと、継続的なケアの提供レベルやアクセスに不公平が生じる可能性が懸念されます。
本研究プロジェクトの詳細は、こちらをご覧ください。