ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進に向けた東南アジア地域での能力開発トレーニングに貢献

2024年1月8日
ニュースリリース

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の拡大は、WHOが達成を目指す「3つの10億」の目標の一つです。人口高齢化が進むなか、ケアのニーズがありつつもそれが満たされていない、もしくは必要なケアを受けていない高齢者の問題が指摘されており、持続可能な開発目標(SDGs)やUHC、WHOの目標を達成する上では、こうした高齢者における医療・社会的ケアの未充足ニーズ(アンメットニーズ)を定義し測定することが欠かせません。

しかしこの問題を明確に把握することは難題であり、現状では世界共通の測定方法があるわけではなく、多くの国では関連する健康データも不足しています。WHO神戸センターは、研究や能力開発、グローバルな取り組みとの協働を通じてこの問題に取り組んでいます。

WHO神戸センターのテクニカル・オフィサー、ローゼンバーグ恵美は、共同研究者であるスウェーデン・ヨーテボリ大学のナウィ・ン教授とともに、UHCの一環である経済的な保護の測定に関して行われた東南アジア地域におけるトレーニングにおいて、アンメットニーズに関する研究結果を発表しました。医療費における経済的な保護はSDGsの指標3.8.2に含まれており、能力開発トレーニングは各国において関連データの分析を担っている統計の専門家を対象に行われました。

ローゼンバーグは「医療ケアにおけるアンメットニーズのシステマティックレビューからは、ほとんどの国でデータが不足しているという点が明らかになりました。しかし各国での調査は、どれくらいの人が受診を控えていて誰が一番影響を受けているのかについて、重要な情報源になり得ます」と述べました。「例えば本研究の二次データ分析では、東南アジア地域の60歳以上における受診控えの発生率が、タイでは1.9%、バングラデシュとインドでは約44%と大きく幅があり、バングラデシュの60歳から69歳の女性においては55%に至ることがわかりました」

本トレーニングはWHO東南アジア地域事務所、WHO本部、および世界銀行が共同で開催し、2023年11月28日から12月1日までインドネシア・ジャカルタで行われました。

アンメットニーズに関する研究プロジェクトの詳細はこちらこちらをご覧ください。