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セクション2:課題の同定と把握
2.4章 災害疫学のツール:データベースと登録

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著者:Schluter PJ, Kim HM.
第2.4章では、災害疫学研究者が利用できるデータベースや登録システムの主要な3つのタイプを紹介し、それぞれの長所と短所を示します。
- データベースと登録システムの種類と特徴的な違いを説明します。
- ケーススタディと例を挙げて、それぞれの使用方法を説明します。
- それぞれの長所と短所を明らかにし、世界レベルでの概要を説明します。
本章について
災害や緊急事態が人間の健康に及ぼす影響を測定することは容易ではありません。データベースや登録システムは、意思決定の際に、災害時の環境曝露が人間の健康に及ぼす影響を評価するのに役立ちます。
この章では、災害による健康への影響を評価するための、現在進行中、既存の、そして災害後のデータベースや登録システムの長所と短所を説明し、評価します。また、データベースと登録システムの連携強化や、災害計画・対応の研究への応用の可能性についても述べています。この章では、特定の災害におけるデータベースや登録システムの利用を説明する3つのケーススタディが含まれています。
本章のケーススタディ
- 2010年-2011年のクライストチャーチ地震を契機とした統合医療システムの変化に伴う、救急外来受診や急性期入院に対する影響の測定
- 2010-2011年のクライストチャーチ地震にさらされた後の主なうつ症状の予測における心的外傷性ストレスの役割
- World Trade Center Health Registryの登録者におけるうつ病の縦断的決定要因の特定:9.11テロ後の15年間のフォローアップ調査
本章のキーメッセージ
- 災害疫学研究に利用可能なデータソースは複数あり、またその数は増加しています。これらのデータを利用し、関連づけること、および緊急事態や災害が人々の死亡率、罹患率、生活にどのような影響を与えるかを調べることによって、環境曝露に関する知識を拡大・発展させることができます。
- 日常的に収集されるデータ利用は便利ですが、研究者が利用できる変数の範囲、深さ、質によるデメリットも生じます。そのため、災害と被災者の現状をきちんと反映するような災害後に行われる研究を開始する必要があります。
- より質の高い豊富なデータが収集されるにつれて、ビッグデータ、機械学習、データサイエンスは災害疫学研究においてますます重要な役割を果たすようになると思われます。しかし、これらの定量的データを定性的情報で補強する手段はまだ検討されていません。