WHO神戸センターは10月27日、「災害への備え・対応・復興におけるメンタルヘルスおよび心理社会的サポート(MHPSS:Mental Health and Psychosocial Support)の強化」をテーマとした専門家・関係者会議を神戸で開催しました。本会議には、日本国内外から20名を超える専門家や政策担当者が参加し、日本および西太平洋地域におけるMHPSS体制の強化について議論が行われました。
開会にあたり、当センターのサラ・ルイーズ・バーバー所長は、効果的な災害対応と復興のためにはメンタルヘルスと心理社会的サポートの統合が不可欠であると強調し、「MHPSSを災害対応の一部として組み込むことは、命を守り、回復を支えることにつながります」と述べました。
また、当センターでMHPSS関連の研究を担当する茅野龍馬医官は、世界保健機関(WHO)本部が主導する「Build Better Before」イニシアチブの進展について紹介しました。この取り組みでは、MHPSSの実務的な対応力(オペレーショナル・レディネス)を高めることを目的とし、各国の人道支援関係者や政府関係者を対象に実践的な研修やシミュレーション演習を行っています。
WHO神戸センターが実施してきた研究の成果や、WHO本部と連携したエビデンスの蓄積についても共有されました。さらに、日本がこれまで培ってきた災害時のメンタルヘルス支援の経験をもとに、データを活用した研究や、地域に根ざしたメンタルヘルス支援体制などの取り組みが紹介されました。
参加者からは、保健、教育、福祉など複数の分野が連携してMHPSSを強化する必要性が強調されました。さらに、アジアおよび西太平洋地域で初となる「Build Better Before」のグローバル研修を日本で開催する可能性についても議論が行われました。 参加者は最後に、日本および国際的な関係機関との協力を一層強化し、WHOが進める地域的・国際的なMHPSS関連の取り組みとも連携を深めていくことを確認し、会議を締めくくりました。
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