本書は、高齢化社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジのモニタリングをテーマとした一連の出版物の一つです。WHO 健康開発総合研究センター(WHO 神戸センター)の委託を受け、特定のWHO地域に焦点を当て、高齢人口の満たされていない医療・社会的ケアのニーズに関して、文献をレビューし、関連する質問項目を含む既存の調査データを特定し、利用可能な調査データの探索的分析を行うことを目的とした調査研究に基づいています。本文書は、WHO西太平洋地域に関する調査レポートのエグゼクティブサマリーです。
京都大学で講演
西太平洋地域における高齢者の医療・社会的ケアに関わるアンメットニーズの定量化とその政策要因の分析
災害・健康危機管理のためのメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)
メンタルヘルスは基本的人権のひとつであり、私たちが人生のストレスに立ち向かうためにも、ウェルビーングを維持するためにも必須の要素です。災害は、メンタルヘルスの状態を悪化させます。災害のせいで、人々には避難、喪失、そして資源の不足といった常ならぬ負荷がかかります。こういった負荷が、心理的苦痛を生んだり、メンタルヘルス上の疾病のリスクを高めたりする可能性もあります。そして、この苦痛やリスクは長期にわたって続くこともあるのです。
WHOの推定によれば、紛争にさらされた人びとのうち5人に1人がメンタルヘルス上の問題を経験するであろうとされています。メンタルヘルス上の問題としては、抑うつ、不安、そして心的外傷後ストレス障害(PTSD)があります。同じ事態に直面した人々であっても、その反応は個人により異なります。これは一人ひとりの持つ資質や能力が違うためです。人によっては非常事態の結果としてメンタルヘルス上の疾病を発症します。すでに何らかの持病がある人たちは、症状が悪化することもあり、また、ネグレクト、遺棄、虐待、そして十分な支援へアクセスできないといったリスクに直面する可能性もあります。
早期の効果的なメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)による介入が、災害・健康危機管理のために、極めて重要であることがますます認識されるようになりました。MHPSS介入としては、心理社会的ウェルビーングの保護または促進およびメンタルヘルス障害の予防または治療に向けて、被災地内外から提供される支援を挙げることができます。MHPSSが適切なタイミングで行われれば、健康危機や災害のリスクを小さくし、回復を後押しし、レジリエンスを育むことができます。MHPSSのためのシステムやサービスが、非常事態の前、最中、そして後の時期において、事態に即応できる状態にあるならば、特に効果的です。
このセクションには、MHPSS介入に関する知識、エビデンスおよび情報、関連するガイドライン、ケーススタディーならびにトレーニングツールが掲載されています。これらの知識等は、WHO神戸センターからの助成により行われた研究の成果です。(2022~23プロジェクト、2020~21プロジェクト、2016~17プロジェクト)
健康危機・災害の発生時とその前後の心理社会的なマネジメント
災害による健康への影響を軽減するためのメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)プログラム及び政策を改善するためのエビデンス
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下における精神的ストレス軽減のためのデジタル介入アルゴリズムの開発
災害後の中長期的心理社会的影響に関する研究