セクション4:研究デザイン

4.1章 介入効果評価の研究デザインの基本原則


著者:Clarke M, Rathnayake D.


第4.1章では、災害・健康危機管理(Health EDRM)のための介入・行動・戦略の効果を評価する研究を開発する際に考慮すべき主要な要因について、以下のように説明しています。

  1. 介入効果に対する信頼性・強靭性の高い推定値の重要性
  2. バイアスの最小化
  3. 無作為化試験の役割
  4. 前向き比較試験の実施

本章について

災害・健康危機管理の介入効果に関する研究は、政策立案者や実務者に対し、エビデンスベースを提供します。介入・行動・戦略の効果を比較する信頼性の高く適切な研究は、個人や集団レベルの課題に対して複数の解決策がある場合、どのように対応すべきかの方向性を示すのに役立ちます。 

この章では、災害・健康危機管理において、バイアスや偶然性の影響を最小化する研究の方法について説明します。そのような研究のデザイン、実施、解釈のための重要な特徴を取り上げています。また、この章では、無作為化試験に重点が置かれています。その理由として、無作為化試験が介入の効果を比較検討する際に、バイアスを最小化し、その効果の推定値を、信頼性を担保しつつ、示すことができるからです。この章で議論されるランダム化試験の重要な特徴の多くは、他の前向き研究にも適用可能です。 

本章のケーススタディ

  1. 東日本大震災後の救助隊員の心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状の減衰を目的とした魚油のAPOP無作為化試験
  2. 地震後の下肢外傷患者に対する麻酔と疼痛管理に関する無作為化試験の計画
  3. 将来スリランカでデング熱が発生した場合の戦略評価計画

本章のキーメッセージ

  • 複数の介入・行動・戦略の中から選択を行う場合、それぞれの相対的な効果について信頼できる強固なエビデンスが必要です。
  • そのようなエビデンスは、バイアスや偶然の影響を最小限に抑えた研究から得られる必要があります。 
  • 無作為化試験では、比較されるグループの参加者の違いが、介入の効果または偶然によるものであると示すことができます。 
  • 試験やその他の前向き研究を事前に計画しておくことで、例えば突然発生した災害など、必要なときに開始する準備ができます。
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