セクション4:研究デザイン

4.13章 混合研究法を用いた複雑性への対処


著者:O’Sullivan T, Khan Y.


第4.13章では、災害・健康危機管理(Health EDRM)の研究のためにミックスド・メソッドを使う際に考慮すべき重要な要因について、以下の点に沿って、記述しています。

  1. 混合研究法の基本原則 
  2. 災害調査における混合研究法の妥当性
  3. 災害調査におけるシステム思考  
  4. 複雑系理論の基本的な考え方と災害調査との関連性  

本章について

災害の種類によって時期、特徴、非線形的な影響に違いがあるため、研究者災害・健康危機管理に関連した知見を得るために、定量的手法と定性的手法の両方を用いる必要がある場合があります。混合研究法のガイダンスは、災害・健康危機管理の研究者が質的・量的研究方法を組み合わせて、理解の幅と深さを向上させるのに役立ちます。 

本章では、様々な混合研究法のデザインを紹介し、その開発と実施に関する重要な考慮事項を概説します。複雑な問題に混合研究法で取り組むために使用できるさまざまな戦略のいくつかを例を使って説明します。混合研究法の利点の概説と同時に、この章では実践的な検討事項や、この取り組みに関連する課題や批判も取り上げています。  

本章のケーススタディ

  1. イタリア、アマトリーチェの地震被災者の認識 
  2. カナダにおける公衆衛生上の緊急事態への備えのための効果測定の推進

本章のキーメッセージ

  • 定量的手法と定性的手法を組み合わせた混合研究法は、災害研究に内在する複雑性をより包括的に説明できる第三のタイプの方法論として発展してきました。 
  • 災害健康調査におけるシステム思考は、社会のマクロ、メゾ、ミクロの各レベルにおける要因の相互作用に着目しています。
  • 混合研究法におけるデータ、分析、知見の統合は、その方法論の中心です。多くの混合研究法は統合の過程で失敗しますが、これは混合研究法の特徴の一つです。
  • 混合研究法をデザインし、実施するための課題と実際的な検討事項には、方法論間の理論的・認識論的な相違が含まれます。  
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