セクション4:研究デザイン

4.15章 モニタリングと評価


著者:Hung H, Chan GKW, Chan EYY.  


第4.15章では、災害・健康危機管理(Health EDRM)の介入策のモニタリングと評価(M&E)に焦点を当てた研究の発展について、以下の点に沿って、記述しています。 

  1. M&Eの意味と意義
  2. 災害リスクと保健分野における既存のM&Eフレームワーク
  3. 災害・健康危機管理M&E調査の方法論
  4. 災害・健康危機管理M&E調査の発展における課題

本章について

災害・健康危機管理の介入の有効性を知ることは重要であり、それはモニタリングと評価(M&E)研究によって評価することができます。M&E研究の計画は、方法論的、実践的、倫理的な課題に直面する可能性があるため、緊急時や災害時の環境において厳密かつ実現可能なものでなければなりません。

本章では、M&E研究の重要な役割を説明し、保健・災害リスク軽減プログラムに関連するM&Eの枠組みについて示します。また、M&E 研究を展開する際に考慮すべき事項を提示、主要な課題についての考察で締めくくります。

本章のケーススタディ

  1. 南アフリカ共和国 防災M&Eフレームワーク
  2. マラウイ農村部におけるHIV脆弱性に対する大規模な多段階の経済・食料安全保障介入の成果に関する混合法準実験的研究
  3. イングランドの熱波計画 
  4. 参加型行動研究の例:世界貿易センタービル避難調査 

本章のキーメッセージ

  • M&E 研究は災害・健康危機管理の介入策の有効性を実証し、持続可能な資源配分のエビデンスと正当性を示すために役立ちます。
  • 研究者の使うM&Eフレームワークにより、データ収集、分析、所見の解釈における研究の焦点が決まります。
  • いくつかの災害・健康危機管理のM&E研究では、ランダム化試験が現実的でない場合もあり、準実験的計画が用いられることが多くなっています。
  • 準実験的計画のM&E研究を実施する際には、バイアスを最小化し、研究の内的・外的妥当性を確保するための措置を講じなければならず、研究結果は研究の特定の状況に照らして解釈されなければなりません。
  • 災害・健康危機管理におけるM&E研究では、質の高いデータの入手が困難であることと、指標の選定が大きな課題です。
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