セクション4:研究デザイン

4.4章 良質なデータの収集と管理


著者:Gouvea-Reis F, Dell’Aringa MF, Murray V. 


第4.4章では、災害・健康危機管理(Health EDRM)の研究におけるデータ収集について、以下の点について主に説明しています。 

  1. データ収集のためのさまざまな情報源と方法、およびそれらの利点と限界
  2. 災害時のデータ収集に伴う課題とその克服方法
  3. データの質、データの保存、データの共有の重要性

本章について

災害・健康危機管理の研究と実践において、信頼できるデータを収集するためには、慎重な準備と計画が必要です。データ収集には様々な方法がありますが、特定の研究に最も適した方法を選択する際には、地域の状況・時間・利用可能な資源を考慮する必要があります。 

本章では、災害・健康危機管理研究に用いるデータの質を確保するために、データ収集の前、中、後に考慮すべき重要な側面について議論します。計画や準備のプロセス、データ収集のさまざまな方法、災害の研究時に研究者が直面する可能性のある課題、これらの課題に対処するのに役立つ可能性のあるツールについて探求します。最後に、質の高いデータを保存し、他の人が利用できるようにすることで、さらなる利益をもたらす方法について議論します。 

本章のケーススタディ

  1. 2004年インド洋地震・津波後の災害データ収集の課題
  2. 2011年リオデジャネイロ地すべりの公共精神医療サービス利用への影響を評価す るための生態学的研究
  3. コレラアウトブレイクデータと衛星環境情報の組み合わせによるコレラリスク推 定

本章のキーメッセージ

  • 質の高い研究を行うためには、具体的な研究課題と、適切かつ十分な情報を提供するデータ収集戦略が重要です。
  • 十分な準備をしたにもかかわらず、課題が発生する可能性があることを認識することが基本です。それらにどう対処するかを予測することは、研究者が起こりうる障壁を克服するのに役立ちます。
  • 収集したデータをどのように保存し、長期的に共有するかについて慎重に計画することで、他の人々が研究から利益を得られるようにすることができます。
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