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セクション4:研究デザイン
4.12章 質的研究

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- セクション4:研究デザイン
- 4.12章 質的研究
- 4.1章 介入効果評価の研究デザインの基本原則
- 4.2章 課題の評価:基本的統計
- 4.3章 クラスターランダム化比較試験
- 4.4章 良質なデータの収集と管理
- 4.5章 発展的統計テクニック
- 4.6章 健康関連リスクのモデル化
- 4.7章 災害・健康危機管理における経済的影 響の評価
- 4.8章 地理情報システム (geographical information system)
- 4.9章 リアルタイム症候群サーベイランス
- 4.10章 災害・健康危機管理介入の研究・評価 におけるロジックモデルの活用
- 4.11章 災害・健康危機管理におけるコミュニ ケーションの研究と研究のコミュニケーション
- 4.13章 混合研究法を用いた複雑性への対処
- 4.14章 災害下における自然実験
- 4.15章 モニタリングと評価
著者:Pickering CJ, Phibbs S, Kenney C, O’Sullivan T.
第4.12章では、災害・健康危機管理(Health EDRM)において、質的研究を進める際に考慮すべき主要な要因について、以下の点に沿って、示されています。
- 災害研究でよく使われる質的研究の認識論的基礎
- 災害研究で多用される質的研究方法論
- 質的データ収集に用いられる様々な方法
- 災害リスク軽減(DRR)における参加型、行動型、芸術を基にした研究手法の威力
- 災害状況下における質的研究の共通課題と問題点
本章について
質的研究は、災害・健康危機管理のエビデンスに基づく実践と災害リスク軽減政策の開発に重要な役割を果たします。災害の状況は予測不可能であり、一刻を争う情報を得る必要があるため、災害・健康危機管理研究者が特定のテーマや出来事に影響を受けた人々の生きた経験を理解するために、質的研究の実施方法に関する指針が必要です。
本章では、災害・健康危機管理に関連し、災害の研究で一般的に使用されている質的研究方法の概要を紹介します。様々なタイプの質的方法と、それぞれのタイプに関連する問題点や課題を概説し、研究を計画・実施する際に考慮する必要があることを述べています。また、エビデンスベースを完成させ、知識のギャップを埋めるために、質的なデザインがどのように使用できるかを説明しています。この章では、参加型の研究デザインと協力的な連携の重要性、そしてコミュニティベースの方法とコミュニティ開発の方法を区別する必要性を強調しています。
本章のケーススタディ
- 災害リスク軽減の研究に若者を参加させるための質的参加型かつ行動ベースの調査:EnRiCH青少年チーム フォトボイスプロジェクト、カナダ
本章のキーメッセージ
- 質的研究の設計と方法は、災害・健康危機管理において重要な役割を担っています。
- 質的研究が高品質で信頼できるものであるためには、厳密さが必要です。
- コミュニティベースの研究は、連携とプロジェクトの主体性を共有することに基づいており、コミュニティ内の市民の声を大切にし、研究結果に反映させることが重要です。
- 質的研究をデザインに際して、災害の経験は人それぞれであり、災害の影響も人それぞれであるという事実を意識することで、災害リスク軽減のリサーチギャップを埋める可能性があります。
- 質的研究の創発的デザインは、このような複雑で異なる経験に対応する柔軟性をもたらします。