セクション4:研究デザイン

4.2章 課題の評価:基本的統計


著者:Garimoi Orach C, Nsenga N, Olu O, Harris M. 


第4.2章では、 災害・健康危機管理の中で以下のことについて示されています。

  1. 統計の基本概念
  2. 疫学研究デザイン
  3. 一般的なサンプリング方法
  4. サンプルサイズの推定

本章について

災害・健康危機管理研究における課題の1つは、信頼性の高い統計解析が可能かどうかです。このような分析は、政策立案者や実務者が限られた資源の利用について意思決定を行い、住民の健康状態を解説し、疾病負担を定量化し、介入効果を推定するのに役立ちます。 

この章では、研究デザインの選択など、研究を実施する際に考慮すべき基本的な統計的原則を扱います。要約統計、疫学的研究デザイン、サンプリング方法、サンプルサイズの推定などのトピックに対して、例と定義が示されています。この章では、人道的な環境において、分析のためにどのようなデータ収集が行われたかのケーススタディが含まれています。 

本章のケーススタディ

  1. 南スーダンの人災における公衆衛生上の課題の測定 

本章のキーメッセージ

  • 災害・健康危機管理の研究において、研究から得られる定量的データの統計解析とその結果は極めて重要です。疾病負担の推定(人道支援物資の配給に役立つ)、災害が住民に及ぼす健康への影響(将来のニーズに対する計画を可能にする)、介入、行動、戦略の効果(例えば人道支援に含めるべき要素の優先順位付け)などにつながるものであります。これを成し遂げるためには、多様な専門分野を持つ協力者の貢献が必要です。
  • 実務担当者は、研究課題に確実に答えるために、データ収集と分析に関するさまざまな手法を理解し、研究課題に最も適した方法を用いる必要があります。これには、調査、コホート研究、症例対照研究、量的研究のための無作為化試験などの実験的研究、そして適切な場合には質的手法の利用が含まれる可能性があります。
  • 緊急事態における研究は、倫理的な問題(第3.4章)や限られた資源に制約されるため、厳密な疫学研究を実施することの難しさ及び信頼できる統計解析の重要性の両方が増しています。 
本章をダウンロード
本章の概要についてもっと見る